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業界の足元を揺るがす糖質制限

炊き立ての銀シャリは眩いばかり。「米料亭八代目儀兵衛のごはんは何杯でも食べられる」と箸が止まらない人も。

巷は今、空前の糖質制限ブーム。ごはんの摂取を控える風潮が広がっています。糖質ゼロ・糖質オフを掲げる飲料や食品がスーパーの陳列棚に数多く並び、大手外食チェーン店では低糖質をうたうメニューが増加。回転ずし店ではシャリだけが山のように残され、日本人の主食であるお米がいつのまにか悪者扱いされるようになりました。橋本さんはこうした流れに警鐘を鳴らします。

「お米が身体に良くないという情報には大きな誤解があります。一番の問題は過剰に摂取する食べ方にあるのに、根本からすべてお米のせいにされてしまっては米業界にとってかなりの逆風です。僕たちはお米をたくさん食べてほしいわけではなく、あくまで質の良いものを少量食べることが健康のためにベストだと思っています。一方、海外では和食がブーム。グルテンフリーが進み、小麦よりお米に意識が向いてきています。身体を思いやるバランスの良い食べ物は日本食にこそあると。僕もその通りだと思っています」。

米離れが加速する理由

全国各地の産地に足を運び、直接目で見て触れて確かなものだけを仕入れ。優秀な生産者を見つけるのも大事な仕事です。

糖質制限だけでなく、日本人の米離れが進んでいる背景にはさまざまな理由があります。その一つに橋本さんが挙げるのが市場の変化です。

「量販店に押され米屋の力がなくなってしまったことが大きいでしょう。昨今は産地銘柄による過当競争が激しくなり、量販店は安さだけを追うようになりました。それが結果として、お米本来のおいしさが何であるかを見失わせてしまいました」。また、お米のおいしさを追求する人がこれまで誰もいなかったことも大きな要因だと付け加えます。

「米業界は長らく産地やブランドに頼りすぎました。もちろんそのようなお米を否定するわけではありませんが、名前だけで判断してしまってはお米の本質が見えてきません。実は米業界にはそもそもおいしさの定義がないんです。新品種がどんどん出ているのに、このお米はコシヒカリ同等とかコシヒカリよりやや良といった乏しい表現でしか評価されません。当社では人の感覚を重視した食味を行っておいしさを判断していますが、一般的には食味計で測ってお米に含まれる成分量などから良し悪しを決めるレベル。農家や販売店もおいしさを追求するのは各家庭任せでいいんじゃないかという古い考えにとどまっています。ワインの世界にソムリエや評論家がいるように、お米の世界にも味に重点を置いて評価する人が存在すべきではないでしょうか」。

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