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独特な店の造りを活用

奥行きがあり広い店内。上階へのエスカレーターもあります。

道具屋筋の中で一番店舗面積が大きいと言われているのが総合厨房設備の「千田」。なんと地下1階から地上3階まであり、エスカレーターまで備えています。こうした大型店は商店街の中でもめずらしく、一般的な店の構造は基本的にどこも同じでちょっと特殊。京都の町屋のように奥行きがあり、一番前が店舗、次が事務所兼倉庫、一番奥が品出しの場所と空間が3つに区切られています。商売がしやすいように考えられた造りで、お客さんが求める商品を置いていないときは、こっそりと裏から近所の店に走って「あんたんとこは置いてへんか」と聞いて回ることもできたとか。

ところが今は宅配業者任せで品出しする必要がなくなったために、奥のスペースを持て余すように。遊ばせているのももったいないと、一部を貸店舗にするところが次々と出てきました。そこへ飲食店が進出し、いつしか商店街の裏手は飲み屋が並ぶように。こうして「ウラなんば」の愛称で親しまれる話題の新スポットが生まれました。日が落ちるころには灯りがともり、仕事帰りのサラリーマンや若者たちでにぎわっています。

変化する道具屋筋の商い

なつかしい綿あめ器を発見。昭和を感じさせるアイテムですが、地域の祭りでは今も重宝される名品です。包丁の専門店は外国人観光客に人気。用途に合わせて数えきれないほどのアイテムが並んでいます。

ウラなんばの活気にみられるように、これまで昔気質に仕事を続けてきた道具屋筋も、静かに変化の時を迎えていると田部さんは言います。

「跡取り問題を抱えているところも多く、小さい店はいつまでやっていけるやらという心配があります。アーケードの下にも飲食店が続々と出店していて、数年後には今とは印象がガラリと変わってしまうこともあるかもしれない。それでも顧客第一にできるだけ長く商いをしていくには、モノ消費からコト消費に移っていくことが理想かなと思います。心斎橋や戎橋界隈は1日35万人が行き交い、そのほとんどが外国人観光客です。道具屋筋では食品サンプルづくりなど特別な体験ができる店があるので、こうしたスポットをもっと増やしてコト消費ができるメニューを強化し、より観光客を呼び込むことができればと考えています」

周辺の商店街はいち早くインバウンドに力を注ぎ、利益は軒並みV字の伸び。道具屋筋も例にならい、生き残りをかけた新たな挑戦が始まります。

(2017年9月 取材・文 岸本 恭児)

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