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栽培を助けたハウスの進化

粒にうっすらとついている白いものがブルーム。ブルームの有無が品質の良さを見極める一つ。

船穂町でのマスカット・オブ・アレキサンドリアの栽培はハウスが中心。平地だけでなく丘陵地にも連なる白い屋根が産地の勢いを物語っています。温室栽培技術向上の陰には、このハウスの発展も欠くことはできません。

マスカット・オブ・アレキサンドリアの生育に適した環境に整えるため、岡山県の生産者たちが採用したのがガラス温室です。温室栽培で温度や湿度を安定させたことで質の良いブドウを収穫できるようになりました。しかしガラス温室は規格が厳密に定められており、平地でないと建てられないなど農家にとっては不都合な面も。そこで船穂町の生産者たちが目を付け、いち早く導入したのがビニール被覆式のパイプハウスです。扱いやすくいびつな土地でも建てられるのが魅力。ガラス温室より低コストであることも普及に拍車をかけました。今では多くの農家がパイプハウスで栽培し、研究と工夫を重ねながら、さらなる品質の向上を目指しています。

難しさの中にやりがいを実感

糖度16度以上が出荷の目安。その他にも厳しい審査基準が設けられており、高い品質が保たれます。

ブドウ農家の間では「アレキを作ることができればどんな品種のブドウも作れる」といわれるほど、マスカット・オブ・アレキサンドリアは栽培が難しく手間のかかる農作物です。「他のブドウと比べると作業工程が多いので、作るのにかなり根気が必要なんですよ」と松井さん。しかしコツコツと手塩にかけて育てるからこそ他の産地には負けない逸品が生まれると胸を張ります。

新規就農者の松井さんは7年前に船穂町に移住。ブドウ農家に弟子入りし、栽培についての基礎を学び独立しました。浅野さんは祖父から父、父から子へと代々直接手を返し伝えられてきた技術を守っています。そのうえで、各々自身の経験から培われた技と知識をプラスし、時代に即したブドウ作りに取り組んできました。

マスカット・オブ・アレキサンドリアは農家ごとに味や香りを追求。個性のある果房に育つようようさまざまな工夫が施されています。品質を高めるうえで重要になってくるのが、生育状態に合わせた温度管理、湿度調整、水分コントロールです。この3つをどれだけうまく操ることができるかが生産者の腕の見せ所。方法は農家ごとに異なり、わずかな違いが仕上がりを大きく分けます。

見た目の美しさも価格に影響

「粒の大きさが均一にそろい、並んでいて品があるブドウができれば農家としては最高」と浅野さん。

収穫するまでに要する期間は6ヵ月弱。その間生産者たちは休む間も惜しんで手入れを行います。繊細な実を扱うため作業中は気を緩めることができませんが、とりわけ集中し時間をかけるのが房を整える作業。店頭に並ぶ美しく粒がそろった円筒形の果房はブドウ本来の形ではなく、農家が念入りに成形したものです。何も手を施さないでいると自由に実をつけ、粒が不ぞろいで味も未熟なまま。見た目の美しさも価格にかかわる大事な要素となることから、一粒を大きく食味良く育てるためには徹底した管理が必須なのです。

実の大きさやなり方にばらつきが出ないよう、生産者は成長に応じて摘粒(粒まびき)を行います。摘粒とは一房になる実をある程度まで減らし、一粒が大きくバランスよく育つようにすること。どの粒を残すかが最終的な美しさや全体の味につながり、生産者の経験とセンスが問われます。

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