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生産者の高齢化問題

道の駅ようか内のレストランでは、朝倉さんしょをアレンジしたさまざまな料理が食べられます。夏場は香りが広がる冷やしうどんがおすすめ。

山椒は木が成木期に入り安定した収穫量が見込めると、小規模な農園でも利益が上がりやすい作物です。栽培から加工、販売までを産地で行う六次産業化にも取り組みやすいことから、まちおこしに活用する地域も増えてきています。

現在、朝倉さんしょ部会に所属しているグループや農家は494人。但馬の農業は米づくりが中心の地域ですが、増加する耕作放棄地対策と農閑期の仕事として地元にゆかりのある朝倉さんしょに着目。高齢化が進む地域の新たな産業にしたいと栽培を始めました。しかし最初は反対の声も多く、部会設立の平成22年の会員は200人足らず。その後、部会の働きかけやJAのサポートもあり会員数は右肩上がりで増え続け、今では倍以上に膨らみました。平成27年には但馬全域で1万本の苗木を新植するという目標も達成。今後は収穫量を安定させ、年間1億円の売り上げを目指しています。

順調に産地化が進む一方で、生産者の約6割が70歳以上と高齢化も加速。朝倉さんしょは年齢を重ねても作業しやすいようにと、剪定や整枝をして脚立に登らなくていい低木にしてありますが、実の摘み取りには体力も必要。このままでは生産者数の先細りも否めません。若手の参入を望む現場の声は年々切実さを増しています。部会では、地域の小学生に収穫を体験してもらったり、新規栽培者向けの講習会を行ったりと、次世代の担い手を増やす活動も並行して行っています。

需要の声に応えたい

乳製品との相性も抜群。道の駅ようかで人気のソフトクリームは朝倉さんしょのペースト入りですっきりとした甘さ(画像上)。カレーやドレッシング、ロールケーキまで。朝倉さんしょを使った加工品はなんともバリエーション豊か(画像下)。

但馬地域での朝倉さんしょの出荷量は昨年度で11,493㎏。毎年伸びてはいますが、現状では需要と供給のバランスが取れていないことも悩みです。数々のマスコミに取り上げられたこともあり、ここ1、2年で朝倉さんしょの知名度は急速に高まりました。収穫したばかりの生果は一度食べるとやみつきになる人が多く、シーズンになればJAたじまには個人のお客さんからも注文が殺到。加工品のバリエーションもどんどん広がり、大口の取引の話が舞い込んだりと全国各地から問い合わせが寄せられます。

「うれしい悲鳴ではあるのですが、産地として急成長した分、いろんなことが追いついていません。まだ木が育っていないため十分な供給が見込めず、需要に添うような収穫量を確保するのが難しいです。今まではとにかく木を増やせ増やせと突き進んできただけで、品質の安定もこれからの課題。農家それぞれが栽培技術を磨いていくことも重要です」と福井さん。「今後は出荷時のチェック体制も整えていき、産地の維持拡大を続けながら品質を高めるために努力を重ねていかなければいけません」と稲葉さんも気を引き締めます。

一大産地として発展していくためにはこれからが正念場。2人の言葉からは、一日も早く信頼されるブランドに成長させたいという強い思いが感じられました。

(2017年5月 取材・文 岸本 恭児)

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