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栄養バランスは色で伝える

和洋中の多彩なメニューで展開している産院での産育食。野菜をふんだんに使い、目にもおいしいものを提供しています。

では、産育食の目線で栄養バランスの摂れた食事の実践へと妊婦さんを導くなら?「食材の色を意識してそろえましょうと伝えます」。食材の色は栄養素の違いによって分かれているという古くからの考え方に基づき、緑・赤・黄・白・黒の5色に分類。1食の中でこの5色を組み合わせて食べることで健やかな体づくりを目指す方法です。

「ホウレンソウが鉄分の多い食材だと言っても“ばっかり食べ”では体内への吸収が悪いので、ホウレンソウの緑に蒸したり焼いたりした鶏肉の白を加えてシーザーサラダ風にします。ビタミンCを補うと吸収率が高まるため、食べるときには黄色のレモンをたっぷり絞り、同じくビタミンCが豊富な赤いパプリカも加えるとさらにいいですよ、という感じでしょうか。色を意識すると見た目が美しく食欲がわき、栄養面も自然と理にかなってきます」。このように説明されると調理の様子や出来上がりがイメージしやすく、栄養に関する知識がなくてもシンプルに自分の中に入ってきそうです。

レクチャー会は、小附さんにとっても新たな発見の場。お母さんたちの食事情をリアルに知る機会でもあります。ネット上に毎日更新される不確かな食の情報に翻弄されている声が聞こえてきたり、担当医も頭を抱えるほど栄養状態の悪い妊婦さんがいたり。いずれも根っこには食に対して「ねばならない」という頑なな思いがあり、悩みを複雑にしているのではないかと言います。「お母さんたちはあまり難しく考えすぎないで、できるときにできるだけの範囲でやるのが一番。もっと楽に構えていいんです」。

産育食の進む道

なつかしさを漂わせている古民家テイストのトイロニ。おしゃべりに花が咲き、長居するお客さんも多いとか。

トイロニがスタートして数ヵ月。地域の人や男性にも少しずつ関心を持ってもらえるようになり、産育食の可能性に広がりを感じている小附さん。時代の中で食育という言葉が生まれ、社会に寄り添いながら育っていったように、産育食もいつか広く認知される存在になればと願います。

「自分が名づけ親になってみて改めて、なぜ今まで産育食という言葉がなかったのかとつくづく不思議に思います。妊娠から授乳期の食事がそれだけ軽んじられていたということなのかもしれないし、昔はこの時期に食に気を使うのは当たり前のことで言葉にする必要すらなかったということなのかもしれないし。僕の作った造語が伝播し身近になって、まったく知らない誰かが話の中で使ってくれるようになったら、こんなにうれしいことはないですよ。社会の中で産育食にまつわる雇用が生まれるまでに成長したら、本当にすごいなと思います」。

(2017年2月 取材・文 岸本 恭児)

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