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産院での産育食

最新の医学的知見と連動し、産育食について独自の研究を行っている「産育食ラボチーム」。管理栄養士などのプロが集結しています。

現在、みらいたべるでは大阪・京都・神戸にある10施設の産院にスタッフが赴き、お産入院中の患者さんに365日産育食を提供しています。メニューは施設ごとのスタッフが現場の空気を感じ取りながらそれぞれに立案。仕入れも一括ではなく、各施設で独自に行うスタイルを貫いてきました。地元の野菜を使ってほしい、だしはきちんと一から取ってほしいといった要望にも柔軟に応じます。労力を惜しまずオーダーメイドのサービスに力を注ぐのは、施設のブランドを損ねてはいけないというプロとしての責任感。「妊婦さんたちはここで生みたいと選んで来られているので、各産院のカラーに添った食事を提供することが僕たちの役割だと思っています」。

小附さんが現場のスタッフたちに常に求めるのは、クリエイターとしての能力や臨機応変な対応力。加えて “笑い”を大事にするよう伝えています。「環境や気持ちは味に表れます。どんなときも笑えるくらい心にゆとりを持っておかないと、料理を作ることが作業になってしまうでしょう。作業から生まれたものはおいしくないですから」。

時には“甘さ”も必要

入院中の楽しみであるおやつ。この日はドライフルーツのシフォンケーキ。甘くふわふわの口当たりにお母さんたちは癒されます。

お産入院中の食事はお母さんたちの大きな楽しみ。季節の行事はひときわ華やかな産育食で盛り上げ、出産という大仕事に挑んだ後は、渾身のお祝いメニューで労をねぎらいます。「入院中はお母さんたちが唯一、上げ膳据え膳でいられる時。家に帰れば大変な育児が待っているのですから、少しでも喜んでもらえてゆっくりしてもらえるといいなと思いながら作っています」。

今、みらいたべるが厨房を任されている産院では、安定した状態にある低リスクの妊婦さんが多いため、厳しい栄養管理は必要ありません。スタッフたちは厚生労働省が定めたガイドラインを頭に叩き込み、基準を大事にした食事づくりを行いながらも、ある程度の緩さはよしとしています。「時には甘いおやつも出しますよ。妊娠・授乳期は控える方がいいと言われている生クリームもちょっとくらいならね」。食べる人を思う心もまた産育食の原点。作り手の気づかいがお母さんたちの心を解き、育児に向かう力を与えています。

レクチャー会での心がけ

依頼があればお産を控えた人たちに産育食のレクチャー会を開催している小附さん。伝えるときには心がけていることがあります。

一つは「大事」という言葉を使わないこと。もちろん、産育食がお母さんの体や新しい命にとって大事であることは確かです。けれども、平易な言葉が時に重たく響くこともあります。「妊娠中の心身ともに不安定なときに、これはすごく大事なんですよ!と言われても頭には入ってきませんよね。強い反発を覚えてしまう人だっているかもしれません」。

もう一つは、栄養バランスを数字だけで説明しないこと。「産前産後の食事は栄養バランスがカギです。でも、鉄は1日に何mg摂取してくださいねと数字で押し付けられたとたん、食事が大層なものになりませんか。忙しい毎日の中では実践もしづらいでしょう」。

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