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食べ物の合う・合わないを知る

色とりどりのお惣菜は目も楽しませて食欲をそそります。

長らく続く健康食ブームの中で、新しい情報が日々更新され氾濫している今。横田さんはそれらを鵜呑みにして生活に取り入れることが、かえって健やかな体を遠ざけてはいないかと警鐘を鳴らします。

「人と食べ物の関係には合う・合わないがあります。テレビや雑誌でこの食材をこうやって食べると体調が改善されますよと言われていたとしても、誰にでもおすすめできるわけじゃない。万人受けする食べ物はないと思ったほうがいいです」。たとえば、美容やダイエットを目的に飲んでいる人が多いスムージー。「基本的に生の野菜を撹拌して調理することは、陰陽論で考えると体を冷やす食べ物にすることになります。これは何十キロものジョギングを日課にしているような筋肉質で熱量の多い人ならいいですが、冷え症の人には不向きです。マクロビを実践している中にも、毎日茶色い煮物や玄米ばかり食べている人がいます。一時的には体調が改善しても、偏った食事を続けることで結果的に悪い方向に傾くこともあるでしょう。体は日々変化しているので、ずっと良い影響を与え続けるとは限らないんです」。

横田さん自身も体に合わない食材でたびたび苦い経験をしてきました。人よりかなり敏感な体質であるがゆえに、厳密に作られたオーガニック食材ですらアレルギーや気管支炎の引き金になることがあるそうです。「体調不良で病院に行き検査をしても原因がわからないときや、単に過労やストレスで片づけられてしまったときは、毎日の食を疑ってみてください」。何気なく食べているものの中に、実は不調の元が隠れていているかもしれません。

人も自然の一部と認識して

動物性食品をまったく使っていないバースデイケーキ。クリームは豆腐やココナッツオイルなどで作られています。

最近はファストフードやスナック菓子、ケチャップやマヨネーズをたっぷりかけた濃い味付けの料理に舌が慣れることで味覚が鈍くなる、味覚障害を持つ子どもたちが増えています。味覚障害は単に味がわかりにくくなるだけでなく、将来的に健康にも悪影響を及ぼすと考えられ、けっして軽視はできません。ますます危うくなる日本人の食を救うために毎日の食卓から取り組めることはないのでしょうか。

「まずはお母さんたちが料理を手作りし、パンではなくごはんを中心とした献立に変えることです。それだけで食卓の印象が変わってくると思います。パンに合う料理となるとどうしても脂っぽいものに偏りがち。こってりしたソースをかけると素材の味もわからなくなってしまいます。でも日本のお米は炊くだけでおいしいし、シンプルなおひたしなどの副菜にお味噌汁を添えるだけで十分。欲を言えば、基本の調味料である塩、しょうゆ、味噌はちょっと値段が高くても手のかかった天然醸造のものを選ぶことをおすすめします」。凝った料理を覚えたり栄養学を学んだりする必要もなし。日本人の昔の和食に立ち帰るだけでいいと横田さんは言います。

「人も自然の一部。宇宙のすべてをいまだ解明できていないのと同じくらい、人の体もまた複雑で神秘的だと思っています。だから食も栄養学など部分的なことにとらわれてばかりでなく、自然に沿うことが大事なのではないでしょうか。できるだけ自然な食べ物を自然な方法で食べることを心がけるだけで、解決できることはたくさんあるはず。私はそう信じています」。

(2016年11月 取材・文 岸本 恭児)

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