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母が教えてくれた自然食

自家製の野菜とバジルで作ったお惣菜は、マンゴーとみかんジュースで作ったソースで和えてさっぱりと。

横田さんが自然食に目覚めたのは十代の半ばでした。「我が家では私が小さいときからできるだけ添加物を取らない食事を母が心がけてくれていました。ちょうど私が15、6歳くらいのころに母がマクロビの勉強を始めて、自然食材の宅配に出合って。そのころから本格的に自然食にシフトしていったと思います」。中学生や高校生は質より量。スナック菓子やファストフード、こってり味の揚げ物や焼肉などをおなかいっぱい食べたいと思う時期なのに、不満はなかったのでしょうか。「最初の1ヵ月くらいはずっと文句を言っていましたよ(笑)。お肉料理が少ないとか味噌汁の出汁が薄いとか。でもわりとすぐに慣れて、自然なおいしさがわかるようになりました。いつの間にかコンビニのお菓子やおにぎりは食べたいと思わなくなっていましたね」。ごくたまにナチュラルな製法で作られたハムが食卓に並ぶときは、お母さんが「本当のハムはピンク色ではないんだよ」と教えてくれていたと言い、毎日の食卓が食育の場でした。

「母が自然食に目を向けたのは、私がアトピーだったことと、母が高校生の時に実母をがんで亡くしていることにあります。病気の原因をどこに見出すかは人それぞれだと思いますが、母にとってはそれが食でした」。お母さんが愛情をかけた体にやさしい料理によって、横田さんの体と心はどんどん変化していきます。この体験が今の生き方へとつながる原点となりました。

食の改善で心身と人生に変化

洗うと一層イキイキと艶やかになる自家製野菜。肥沃な大地から受け継いだエネルギーが伝わってきます。

食を自然なものへとシフトさせることで、体が健康になったりポジティブ思考になったり。心身に良い影響が生まれるだけでなく、人生にさまざまな気づきを与えてくれると横田さんは言います。

「私は自然な食を通して興味の幅が広がり、勉強したいことがすごく増えました。食べることを見つめなおすことは、教育や文化、社会、歴史などを見つめなおすことにもつながったんです。たとえば、今の日本がなぜ欧米の食文化になったのかを探っていくと、戦後のアメリカ占領下にあった自国の歴史を振り返ることになります。風土から食べ物をひも解いていくと、日本の文化や昔ながらの生活習慣を知ることもできました。食べ物を見直したことで体と心の変化を実感できた以上に、見える世界が広がり人生がガラリと変わったことのほうが私にとっては大きかったです」。

自分が感じたことや経験したことを多くの人にも味わってもらいたいと思った横田さんは、周りにオーガニックについて語るようになります。けれども、十代の友達たちには怪訝な顔をされるばかり。発信することをすっかりあきらめていました。ところが時代が巡り、世間で食育の言葉が聞こえ始めたころ、伝えたい思いが再燃。今なら打てば響くかもとSEとして勤めていた会社を退職し、シンプルで楽しく気軽に自然食に立ち返ってもらえる方法はないかと食の分野での道を模索し始めます。そして食育のヒントを探しに、フランスへと旅立ちました。

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