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外国人観光客を呼び込む努力

鮮魚店の店先には、大振りなカキやウニが殻付きで並んでいるのがもはや当たり前。1個3000円を超えるような高級ウニも飛ぶように売れるそう。

黒門市場の未来に多くの店主たちが危機感を抱いていた2012年、2つことがきっかけで外国人観光客に目を向けた商売を始めることになります。「1つは黒門市場のとある鮮魚店が上海に支店をもっておられて、インバウンドに関する情報を知らせてくれたこと。もう1つは、仕事で中国に精通している人が、これからはもっとアジアからの客が大阪にやってくるとにらんで、黒門市場に出店したこと。今後は私らも国内だけでなく、海外を意識して商売をしていかなあかんのやと思うようになりました」。

海外のお客さんを呼び込むには仕掛けも必要です。そこで真っ先に目を付けたのは、爆買い目当ての中国人観光客を乗せた観光バス。近くに電気屋街があり、毎回市場の入口付近にバスを停車させ、乗客を乗り降りさせていました。そこで、目立つところに大きなちょうちんをぶら下げ、中国語で「いらっしゃいませ」と書いた幕を張って気を引く作戦に。すると珍しがる中国人たちが写真を撮るようになり、通りにも流れが向くようになりました。また、各商店を紹介する冊子の外国語版を作製。近隣の宿泊施設や観光案内所に配布し、魅力をアピールしました。最近では、トイレやごみ箱を設けた無料休憩所に、無料Wi-Fiの環境も整備。店主たちは商売に必要な英会話まで習っているそうです。こうした努力が結実し、黒門市場に行けば安全でおいしい日本の食があるという評判がSNSなどで拡散。近年は来場者の3分の2以上を外国人観光客が占め、にぎわいを支えています。

ガイドツアーの試食に注目

イートインスペースがあるお店もあります。その場で焼いたり調理したりしてくれるので外国人観光客に好評なのだとか。

今ではすっかり黒門市場の名物となった食べ歩きですが、そのスタートは日本人客へのサービスとして行っていた試食だったといいます。黒門市場の魅力をもっと知ってもらおうと、数年前から取り組みはじめた日本人観光客向けの無料ガイドツアー。山本さんなど組合の人がガイド役を務め、市場内を1時間かけて巡ります。ただし、店や商品の紹介はしないのがポリシー。「何を売っているかなんて誰が見てもわかるやないですか。私らは黒門市場の歴史や由来、店の人物に焦点を当て、表からはわからない市場の裏側を伝えるようにしてます。もちろんジョークも交えながらね(笑)」。

匠な話術と内容の濃さが聴き手の心をつかみ、おもしろいと大ウケ。「ツアー自体に利益は生まれませんが、ありがたいことに話を聞いた後に皆さん買ってくださるんで、結果的に市場全体の売り上げには貢献できてます。市場は全国どこにでもあるし、売っている商品にさほど変わりもないからおもしろいことなんか何にもないやろと思てました。でもそう思てるんは実は商いをしている私らだけ。見方を変えるとお客さんにとって目新しいことはたくさんあるんやね」。

山本さんはツアーの最中に話を忘れてしまうこともあるそう。そんなときは決まって、場をつなぐための試食を店の人に用意してもらっていました。その様子を外国人観光客が見ていて、私も食べたいと言うようになったことから、市場の中に食べ歩き用の食を提供する店が広がっていったようです。

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