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優秀なそばの栄養素

皿そばは1人前5皿が一般的。香りが高くのど越しが良いので、つい食べ過ぎてしまいます。

そばは栄養の宝庫。良質なタンパク質を中心に、ビタミンや食物繊維、ミネラル、ポリフェノールの一種であるルチンなど、健康増進に不可欠な栄養素をバランスよく豊富に含んでいます。食べることで胃腸の働きを活発にし、気力や精神をも養ってくれることから、修行中の僧侶もそば粉を水に溶かして口にしていました。また、白米を基本とした食生活を送っていた江戸の上流階級で、ビタミン不足が原因で脚気が流行っていたとき、そばを口にすると症状が解消されたとも伝わっています。一部には、そばを食べるとアレルギー症状を引き起こす人もいて、小さな子どもに与えるときなどは注意が必要ですが、美と健康を目指す人にとってはまさにスーパーフード。麺類でお腹を満たすなら、うどんやパスタよりもそばを選びたいところです。

白濁したそば湯のパワー

そばを食べ終わったころに出てくるそば湯。そば湯は提供用に、そば粉を湯に溶いて出す場合もあるそうです。

そばを食べた後に供されるそば湯。そば湯はその名の通りそばをゆでた際のゆで汁のことです。残ったそばつゆに加えて飲むとおいしいですが、そのまま口にすると味気なく、白くとろりとした液体になんとなく抵抗がある人もいるかもしれません。でも、そば湯を飲むことにはきちんとした意味があるのです。

そもそもそば湯を飲む習慣は信州に始まったと言われています。一説には、修行中の見習いが空腹を紛らわすためにそば湯を飲んだことに由来するとか。そば湯は胃腸の調子が悪いときに飲むと元気になる、そばを食べた後にこの湯を飲むと病気にならないなどと言われていたようで、うわさが江戸へも伝わり、そば湯を飲む風習が広がったと見られています。そばはゆでることによって、タンパク質など身体に良い栄養素の一部が湯の中に溶けてしまうと考えられています。そのため、そば湯を飲まずに捨ててしまっては、取り入れられるそばのパワーも半減。湯に移った香りやうま味も楽しめるので、ぜひ口にしたいところです。ただし、余ったそばつゆにそば湯をさして飲む場合は塩分の摂りすぎに要注意。濃度を加減しながら、そばの栄養素を余すことなくいただきましょう。

【コラム】そばと縁起の関係

そばは暦や人生の節目に縁起を担いで食べる習慣があります。よく知られているのは、引っ越したときに近所と付き合いを深める「引っ越しそば」と、新年の始まりを祝い除夜の鐘を聞いてから食べる「年越しそば」でしょう。始まりはどちらも江戸時代。そばの細く長い形状にあやかって、引っ越しそばは近隣との末長い縁を、年越しそばは長寿など多くの願いが込められています。他にも「縁結びそば」「願掛けそば」「節句・端午そば」といった地域や家庭ごとに伝わる風習は多数残っています。このように、日本人にとってそばは長く暮らしに寄り添ってきた親しみ深い食べ物なのです。

(2016年9月 取材・文 岸本 恭児)

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