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バラエティ豊かな食べ方

『湖月堂 内堀店』の店主であり、出石皿そば共同組合の理事も務める石田伊久雄さん。出石そばの地産地消化に取り組んでいます。出石皿そばならではの薬味といえば、とろろと鶏卵。『湖月堂 内堀店』では鶏卵を温泉卵にして提供。そばとよく絡みます。

そばは鮮度が命と言われています。出石皿そばも、挽きたて、打ちたて、ゆがきたての“三たて”で伝統的なおいしさを守ってきました。人気の一軒である『湖月堂・内堀店』では、その日提供するそばはその日の朝に店主である石田伊久雄さんが仕込みます。注文を受けてからさっとゆで、冷水できゅっと締めたそばはコシがあり風味豊か。のど越しの良さからつい箸が進みます。 

出石皿そばは薬味の種類の多さも魅力。1人前を注文すると、お馴染みのネギ、わさびに加えたっぷりのとろろと、店によってはやや小さめの鶏卵が1個付いてくるのです。食べ方は人それぞれ。特に決まったルールはありませんが、出石皿そば協同組合の理事も務める石田さんに、薬味を思う存分楽しめるおすすめの食べ方を教えてもらいました。「まず1皿目はそばつゆだけで。2皿目はネギとわさびを加えます。3皿目は鶏卵を割り入れ、4皿目になるととろろも一緒に入れて召し上がってください。すべての薬味を最初に全部入れてしまわれるお客様もいらっしゃいますが、できれば味に段階を付け、5皿それぞれをバラエティ豊かに味わうのが出石皿そばの醍醐味です」。

そばちょこがなかった昔は、小皿に薬味を乗せそばつゆを直接かける、いわゆる「ぶっかけ」にして食べていたこともあったそうです。

【コラム】二八そばと十割そばの違い

そば屋に行くとメニューや看板に「二八」「十割」という言葉が目に留まることがあります。これはそば粉の配合を表したもの。「十割」はそば粉のみで作られたそばのことで、「二八」はそば粉八の割合に対し、つなぎとしての小麦粉を二の割合で混ぜたことを示しています。出石にあるほとんどのそば屋で出されているのは「二八そば」です。「二八そば」は細めでつるっとしたのど越しと弾力があるのが特徴。一方「十割そば」は「二八そば」に比べるとややざらっとした舌触りで、噛むたびに滋味あふれる香りが広がります。なお、そば粉十に対して小麦粉二の割合で打った「外二八」(または外二)と呼ばれるそばもあり、配合の割合によって味や風味、食感の個性はさまざま。そば屋で出合う機会があれば、食べ比べてみるのもおすすめです。

味の脇役「そばつゆ」の今昔

そばはあっという間に伸びてしまうもの。「出石皿そばもゆでたてをすぐに食べてください」と石田さん。

そばを食べるとき、薬味と共に必ず添えられているのがそばつゆです。そば同様、そばつゆにも店ごとに育てた独自の味があり、使う材料や製法も千差万別。一般的にはしょうゆやみりん、砂糖を煮て「返し」を作り、かつおぶしやこんぶ、干ししいたけなどから取った「出汁」を合わせて完成させます。『湖月堂・内堀店』では作ったそばつゆを2週間寝かせ、味を馴染ませる工夫をしています。馴染んだ後は角が取れてうま味が倍増。まろやかさが感じられるそばつゆに仕上がります。

今のように芳醇な味わいのそばつゆは、昔からあったわけではありません。しょうゆが高級品だった時代は、辛味のある大根の汁に味噌やたまり醤油を加えたものを合わせて食べていました。しょうゆを用いたそばつゆの製法は、1751年発刊のそば専門書『蕎麦全書』に記されています。しょうゆに酒と水を加えて弱火でじっくりと煮詰め、好みによってよく枯れたかつおぶしで取った出汁を加えることもありました。材料や作り方から見ても間違いなく今のそばつゆの原型と言えるでしょう。

しかしそばつゆはあくまでも脇役。そばの香りや味わいをじゃませず引き立てるのが役割で、少々控えめなほうが良いとされています。

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