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ごま焙煎職人の成せる技

毎年自社農園で行われる種まきの様子。小さな生のごま粒をまくのは思いのほか重労働です。

焙煎は味の核となる作業です。「方法は各メーカーによって少しずつ異なり、それが味の個性につながっています。1回に焙煎するごまの量もまちまち。30~40kgが主流ですが、当社では10kg前後と、少量ずつ焙煎しています。少量・短時間の焙煎は油断すると焦げてしまうことも多いので、大手では採用しにくい方法。しかし当社では、おいしさを極めるためにあえてこのやり方を通してきました。焦がしすぎるとクレームにもつながるので、ギリギリのラインを見極めるのが難しいところなんです」。

長年培った勘で焙煎を取り仕切るのが四代目社長の和田悦治さんです。悦治さんは唯一無二のごま焙煎職人。社長らしからぬ作業服姿で現場に入ると、朝8時から夜の8時まで焙煎機につきっきりです。焙煎後のごまを2分おきに舌で確かめ、瞬時に状態を判断。焙煎時間や温度を1秒1度単位で設定しなおしたり、量を調整したりしながら自慢の味へと育てていきます。「社長はこんな毎日を45年間続けています。他にも焙煎ができる社員はいますが、社長の生み出す味には遠く及びません」。焙煎を終えたごまは一粒一粒が艶やか。芳しい香りを放っています。焙煎したてをいただいてみると、口の中で勢いよくプチン。同時に広がる甘みと香ばしさの力強いこと。ごまの印象ががらりと変わりました。

自社農園が教えてくれること

発芽から1ヵ月以上経つとごまの花が咲き始めます。凛と可憐な姿は美しいのひと言。

奈良県葛城市にある自社のごま畑。何事も経験と、和田さんや社員たちは時間を見つけて畑に通い、近所の農家の手も借りながら、苗の植え替え、間引きの作業などに汗を流しています。ごま畑はオーナー制度を取り入れ、みんなで種まきをしたり、花の咲く季節には畑で花見をしたりと体験イベントも開催。そこには、収穫までのプロセスを楽しみながら、商品の裏側を少しでも知ってもらいたいという和田さんの思いがあります。

毎年5月になるとごま栽培が始動。生のごまを一粒ずつ畑にまいていきます。大地と太陽の恵みを受けてグングンと根を伸ばし、畑一面が淡いピンク色をしたごまの花で覆われるのが7~8月。花が散ると粒がたくさん詰まったさやができ始め、人の背丈ほどの大きさにまで成長。さやが成熟して割れ、ごまの粒が落ちてくる直前になると一気に刈り取ります。収穫後は10日ほど乾燥させて脱粒。ブルーシートの上でさやを叩いて粒を落していきます。1つのさやに入っているごま粒は80~90粒。最後はごま粒とごみを分ける選別を行い、みんなで1年を振り返りながら収穫の喜びを分かち合います。

「刈り取りから脱穀まではすべて手作業。これがとにかくしんどいとオーナーのみなさんはおっしゃいます。スーパーでごまの袋を見るたびに、ごまづくりは大変なんだと思うようになったと。心の変化は私や社員も同じ。自分たちの手でごまを育てるようになってから、農家の人たちの辛さや大変さが身に染みるようになりました」。何より栽培を大事にした商品づくりをしていきたいと自然と思えるようになったと言います。

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