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うそのない商売をやっていこう

工場横の直売店「燕来庵」には35種類ほどの商品がラインアップ。特産の備前焼にも触れてもらいたいと作家さんの作品も一緒に並んでいます。

鷹取さんの父親は根っからの職人気質。13歳で醤油づくりの道に入り、とにかく質の良い物をつくることだけを求めて走ってきました。反面、数字には無頓着。「今の売り上げでは到底自分の給料は出ない」。帳面を開き、鷹取さんは愕然としたそうです。同時に襲ってきた不安。組織という大きな後ろ盾を失い日々の生活に何の保障もなく、今のお客さんだけでいったいどう醤油屋を切り盛りしていったらいいのか。新しい商品を研究し、出荷数を増やさなければならない。作り手も増員しないと……と、後継者としての責任が肩に重くのしかかります。「最初のころは泣けるくらいしんどかったですよ」。それでも、父親が今まで大事にしてきたお客さんとのかかわりや味へのこだわりは貫くと心に誓い、自分なりのやり方でうそのない商売をやっていこうと夫婦で決めました。「地域に貢献できる会社にしよう、最終的には誰もつくったことのない醤油をつくろうという目標も立てて、どうにかやっていこうと無我夢中やったんです」。

味のクオリティを上げるために

ペットボトルに詰めた商品はその日のうちに出荷。倉庫がすっきりとまとまり、作業がスムーズに進みます。

ゼロから始めた醤油づくりは想像以上に難しく、父親に付いて技術を叩き込み、他の蔵に通い勉強も重ねました。出来上がった商品は毎回分析に出し、味にブレがないかを数字で確認。数字を通してすべての味をマニュアル化することで安定した品質が保てるようになりました。また鮮度も徹底し、業務用で大量納品した商品が数ヵ月経っても客先で余っているとわかると、代金を取らずに回収。「半年を越えると味は少しずつ落ちていく。それはうちの商品ではないんです」。

一方で、衛生面も見直しを図りました。風味を劣化させる雑菌は醤油の敵。仕込みのタンクや醤油を詰める一升瓶は、使う前に徹底した蒸気殺菌が必要でした。しかし、父親のやり方では作業を終えるまでにとんでもない手間と時間がかかります。「朝4時に起きて薪をくべて8時ごろに蒸気が出来上がると管に通して温度を上げる。その間はずっと薪をくべて蒸気を絶やさないようにするのでつきっきり。経費を削りたいがゆえに親父は薪割りまで自分でしよりました。でもよその蔵に行ってみたら設備がきちんと整っていて、ボタンを押せばものの5分で蒸気ができる。まさに目からうろこやったね」。一升瓶も殺菌の手間とストック場所の削減のためペットボトルに変更。父親とは違った目線で取り組んだ味へのこだわりが、商品への信頼につながっていきました。

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