トップ > 食育特集 > File.18(4)

特集メインタイトル

震災を乗り越えた味への思い

長期熟成の底力を伝えるクライマックスソース。パッケージにも工夫を凝らし、ブルーのボトルが見た目にも華やかです。

オリバーソースの味を支える沈殿製法と長期熟成。この伝統製法への思いは、1995年に起きた阪神・淡路大震災を機に一層深いものとなりました。それは「クライマックスソース」という商品に強く反映されています。実はクライマックスソースは震災以前からあり、ワインやレモンなどをブレンドした高級路線で売り出されていたものでした。震災時、神戸市兵庫区にあった本社や工場は、7棟のうち3棟が全焼。4棟めにも火が入って使えない状態で、出荷するはずだった一升瓶が大量に割れ、辺り一面がソースの海のようになっていました。

悲惨な状況下で、かろうじて焼け残ったタンクの中に入っていたクライマックスソース。大事に保存し熟成を進め、それをベースに新たにブレンドし、震災10年、15年、20年と節目の年に限定商品として発表してきました。さらに、震災前のクライマックスソースを長期熟成していく過程で、熟成の真意を追究。その結果、ウスターソースは3年間熟成させた状態が味・香りともにピークと打ち出し、知識と技術を集約させた「オリバークライマックス3年仕込み」が完成します。厳選した国産の野菜や果物を使いリッチな味わいに仕立てたことで、ソースの新たな可能性を切り開きました。

こちらは商品開発室。ちょうどソースの試作の最中でした。こうした地道な努力を重ねてヒット商品は生まれます。

震災後は数カ月間の営業停止を余儀なくされた同社。津田さんは辛かった当時の記憶をたどります。「ちょうどお好み焼きソースとどろソースが売れていた時代で、スーパーにもどんどんと卸していたとき。でも工場がストップして生産能力が落ちてしまったことで、他社製品に棚を譲ることになってしまって。2年後に新しい工場ができて環境が整ったとき、すぐにまた棚を取り戻せると思っていましたが、現実はそんなに簡単ではありませんでした」。会社のピンチを救ってくれたのは、オリバーソースの味を変わらず愛してくれたお客さんたち。スーパーに足を運んで指名で買ってくれる個人客や付き合いの深い飲食店に支えられて復活を遂げます。このときこそ、自社のソースの実力を痛感させられたことはないと話す津田さん。「舌が覚えた味は強く刻まれ、簡単には忘れられないものなんですね」。

ソースの万能力を活用

醤油やだしを加えて和の要素を高めたソースも登場。「揚げものソース」は本枯鰹節の風味が芳醇で、天ぷらにぴったり。

いくつものスパイスが味に深みを与えるだけでなく、程よい刺激が食欲を増進させて消化を促してくれるソース。健康を意識する人たちの間では密かに注目されています。まず、原材料に油を使っていないので、マヨネーズと比べるとカロリーが控えめ。たとえば、キャベツなどの生野菜にソースをかければ、マヨネーズの約6分の1、フレンチドレッシングの約3分の1に抑えられて低カロリーに一役。醤油よりは塩分も少なめなので減塩効果が期待できます。さらに、トマトやニンジン、タマネギ、リンゴといった野菜や果物をたくさん使ってつくられているため、ビタミンやミネラルもたっぷり含有。味がしっかりしている分、少量で満足できるのもソースの魅力と言えるでしょう。揚げ物や炒め物にただかけるだけでなく、調理に用いてもその実力を存分に発揮。ソースを使ったアレンジレシピを津田さんに聞いてみました。

「私のイチオシはから揚げ。どろソースに鶏肉を漬け込んでから衣を付けて揚げると、スパイシーでお酒のおつまみにぴったりです。もう1つのおすすめは鶏の照り焼きですね。」これにはしょうゆとソースの風味を"いいとこどり"したオリバーソースの自信作「しょース」がベストマッチなんだそう。「鶏肉をフライパンで炒めたところにしょースを加え、さらに加熱すると、ソースの酸味が飛んでしょうゆのうまみが押し出されます。これが抜群においしいんですよ」と太鼓判。

ただかけるだけでなく、混ぜたり漬け込んだり隠し味にしたり。工夫次第で普段の料理を手の込んだ味に仕上げてくれるソースは、主婦の強い味方と言えますね。

(2015年10月 取材・文 岸本 恭児)

食育大事典facebookページ
ページのTOPへ