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味付けのりvs焼きのり

製造はほとんどが機械に任されていますが、のりをペットボトルに詰める繊細な作業は人の手で行われています。

入江さんの計らいで、特別に工場を案内してもらいました。ラインは味付けのりの製造の真っ最中。ほんのり芳ばしい香りが辺りに漂っています。焼きのりは製造過程で味をつけず、味付けのりは焼きのりに、しょうゆ、さとう、みりんなどで味をつけたもの。どちらが好みかは人によって分かれるところです。そこでふと気になったのが、関西人は味付けのりを好み、関東人は焼きのりを好むというセオリー。実際のところを入江さんに尋ねてみました。

「鍵庄では味付けのりの売り上げが9割くらいで、圧倒的な人気です」と予想どおりの答え。「でも、味付けのりを最初に開発したのは関西の店ではなく、東京の老舗のり店といわれているんです」と意外な事実が。味付けのりは、明治天皇が京都に行幸する際の手土産を、付き人だった山岡鉄舟が山本海苔店に依頼したのがルーツとか。「ほんのりした香りと旨みを味わう焼きのりは、だし文化に馴染んだ関西人には物足りず、旨みがはっきりと舌に残る味付けのりが好まれたんじゃないでしょうか」と入江さん。そんな入江さんも関西人らしく味付けのり派。小学生のころは、味付けのりのもみのりを袋にがさっと詰めて遊びに行くのが定番だったそう。「大人になった今は、卵かけごはんにのりを巻いて食べるのがお気に入りです。社員それぞれに自分流ののりの食べ方があるようですが、私はシンプルに味わうのが一番だと思いますよ」。

海の栄養不足がのりに影響

佃煮には、前どれ(目の前の海でとれたもの)のタコや茎わかめを加えたものも。もちろん一番摘みの明石のりを贅沢に使用しています。

のりは、たんぱく質やカルシウム、ビタミン、ミネラル、食物繊維、必須脂肪酸をバランスよく含む自然食品です。その実力は「海の緑黄色野菜」や「海の大豆」とも称されるほど。カロリーも低く、生活習慣の予防にもつながると期待され、毎日食べることで私たちの健康を支えてくれます。

このようにのりの栄養価が高いのは、太陽のエネルギーと海に宿る栄養塩(植物プランクトンや藻類が成長するのに欠かせない窒素やリンなどの主要な栄養素)をたっぷりと吸収しているから。しかし近年、海の環境の変化がのりの生育に影響を及ぼしているといわれています。その一因を、入江さんの話のなかからからうかがい知ることができました。 「昔は海中にのりの生育に欠かせない栄養塩が豊富でした。おかげでプランクトンの大発生が赤潮を引き起こしたりもしていましたね。このころの上等なのり(焼く前)は黒い中に青紫の色が混じったような色で美しく光っていたと漁師さんから聞いたことがあります。でも今は海がきれいになりすぎて、黒いのりを作るに必要な栄養塩が足りなくなるのがとても早い。網を引き揚げてものりの色が黄色っぽかったり、もちろん板のりにしても色が薄かったりと色落ちが問題になっています。のりはやっぱり見た目も重要。色艶が良くないと値が付きません。雑草が1本も生えない畑では野菜ができないのと同じで、きれいすぎる海ではのりの生育もうまくいかない。なかなか黒々とは育たないんです」。組合や漁連では、美しい海を守りながら、のりの被害を軽減するための調査やさまざまな対策が進められています。

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