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苦労豆と言われる理由

苗床で育て、双葉が出た頃に畑に移植します。

篠山市で丹波黒の作付けが始まるのは6月。直接畑に種をまく直播きと、苗床で育てて二葉が出たころに畑に定植する方法があります。しかし一斉に生えそろうことは難しく、また鳥害も多いので、多くの農家が手間のかかる移植栽培を行います。またこの地域では、できるだけ粒の大きい豆が実るよう栽培の方法にも工夫が光ります。作付け本数を少なくし、株間や畝間(うねま)を広めに確保することで、1本1本に陽の光や土壌の栄養分をたっぷりと行き渡らせるのです。

「梅雨時期には土寄せと呼ばれる作業があり、豆の茎に土を手で寄せることでさらに根の張りを強くしていきます。それをシーズン中に2、3回繰り返して行うと、豆に体力が備わって茎が太くなり、さらに良質な豆へと成長してくれます。台風対策も万全で、倒伏防止のために畝の両側に支柱を立て、針金などを張る作業も行います。農家のみなさんは本当に熱心。草1本生えていない畑も多いんですよ」。丹波黒は収穫までに何かと手間がかかるうえ、生育期間が約半年と非常に長い作物。これが苦労豆と言われるゆえんなのです。

生育に理想の気候と土壌

手で1本1本葉を落とし、いよいよ収穫へ。

その昔、丹波黒は兵庫県と京都府でわずか数十ヘクタールほどしか栽培されていませんでしたが、現在は篠山市だけで約600ヘクタールの栽培面積を誇ります。丹波黒の栽培が広がった大きなきっかけは、昭和45年から始まった減反政策。米作りをしなくなった農家が米の代用として丹波黒に着目したことで一気に栽培面積が拡大したのです。加えて、篠山盆地特有の気候と土壌も丹波黒の生育に適していました。朝夕に冷えて日中は気温が上昇し、1日の中で寒暖差が大きくなるのがこの地域の特徴。夏は霧も多く発生します。また土壌は粘土質で保水力が高め。生育にたっぷりの水分を必要とする丹波黒にとっては、まさに理想の環境が整っていました。しかし、ここ数年は気候が不安定で生育に影響が出ています。

収穫後は一旦風通しの良い畑で乾燥。「しまだて」(写真左)と「稲木」にかける(右)方法があります。

生育が遅れると流通にも響くため、山本さんも毎年の気温が気がかりです。「8月の初めに花が咲き、莢(さや)になるんですが、そのときに気温が高すぎると莢ができません。お盆明けの気温が20度を切ることや、9月以降の昼夜の寒暖差が大きいことが健やかな生育を助けてくれるため、特に重要となってきます」。生産者たちは収穫期を迎えるまで厳しい自然と戦いながら、日々試行錯誤を重ねています。

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