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梅が梅干しになるまで

健やかな梅の成長を促し、育っていく実を傷つけないためにも剪定作業には時間をかけます。

月向農園の作業場と梅蔵を案内してもらいました。梅作りのオフシーズンは静かでひっそりとしていますが、6月上旬に始まる梅酒用青梅の収穫期になると一変。一粒一粒丁寧に手でもぎとった梅の実で作業場はいっぱいになり、選別や箱詰めに追われる家族やスタッフたちでにぎやかになります。

6月下旬から7月上旬にかけては梅干し用の完熟梅が収穫の最盛期。完全に熟して自然落下したものを、畑に張り巡らせたネットがキャッチ。デリケートな実を傷つけないように網ですくってかごに入れていきます。それを作業場に持ち帰り手作業で選別。こうして選りすぐられた実だけが塩漬けの時を待ちます。月向さんはその年の梅の調子を見るため、漬け込む前の完熟梅をそのまま一度味見するそう。ピーチのような香りが鼻をくすぐり、雑味や水っぽさがなく、エキス分の濃さが感じられれば合格点。今年も良い梅ができたとほっと胸をなでおろします。

作業場の中で至る所に高く積まれた黄色い箱は、梅干しの寝床。中を覗いてみると、天然塩だけで漬ける昔ながらの梅干しがぎっしりと詰まっています。乾燥を嫌う梅干しは、ビニール袋に入れてテープで密閉し保管するのがベスト。塩漬けのものは殺菌力が高いため、湿度を保っておけば長期保存が可能なのだそうです。月向農園では初物から10年熟成のヴィンテージものまでがそろい、お客さんは好みの年代を選んで買うことができます。塩漬け梅干しは年月を重ねると味がなじみ、まろやかさが出てくると月向さん。食べ比べてみるのも一興です。

梅酒作りが教えてくれること

タンクの中で育つ梅酒を見守る月向さん

月向さんが「これは男のロマンなんです」と目を輝かせて語るのが、敷地内にある自家醸造所での梅酒作り。2008年にみなべが梅酒特区認定を受けたことをきっかけに、梅酒醸造免許を取得。2010年から本格的に仕込みを始めました。「自分が本当においしいと思う梅酒を作りたい」というのが月向さんの長年の夢。念願叶った今は、タンクの中で個性の異なる3種類の梅酒を年間2,000本(500ml)ほど作っています。

自分で梅酒を仕込むようになって、その奥深さを知ったという月向さん。「毎年同じレシピで作っても、その年の梅の出来によって味が左右されるため、同じには仕上がらないんです。

醸造所で作った自慢の梅酒。まろやかな味わいやスッキリとした口当たりなどそれぞれに個性が際立ちます。

今みなべで梅酒を作っているところは12軒あるんですが、同じ気候風土で育った梅を使って同じような作り方をしているのに、飲み比べてみると明らかに違うんですよ。それが梅酒作りのおもしろいところです」。

2013年と2014年は梅が育つのに最適な気候に恵まれ、品質が大きく変わった特殊な年。糖度が高く、風味にパインに似たトロピカルさが感じられる実ができました。「味わいの微妙な変化は梅干しではなかなか表現しにくいんですが、梅酒ならダイレクトに反映できます」。2014年仕込みの蔵出しはまもなく。それをゆっくりと味わうのが月向さんにとって至福のときです。

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