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生徒のアイデアではじめた害虫対策

雑草を除去するのも大事な作業の一つ。
丁寧に抜いて米の健やかな成長を促します。

酒米づくりは食用うるち米の栽培管理と基本的に大差はないものの、高い品質の酒米をつくるためには、乾燥や害虫に神経を使わなければなりません。特にやっかいなのが害虫対策。同校の田んぼがある地域一帯にはカメムシとツマグロヨコバイという害虫が多く、夏ウンカ(稲に群がる大害虫)も悩みの種です。

「去年度は収穫前の穂や葉にすすがついたような状態になってしまい、原因はツマグロヨコバイの糞ということがわかりました。また、花が咲いてもみに養分を貯めておく大切な成長期にはカメムシが寄ってきます。カメムシは米の中身を吸ってしまい、真っ白な米にしみがついて、いくら粒が大きくても品質が下がってしまうのです」と頭を抱えていた栗山先生。

同校では農薬は極力使わないという方針から、安易に駆除剤をまくわけにはいきません。ましてや収穫間近な稲への散布は、残留農薬のことも気がかりです。どうしたものかと思案していたところ、酒米づくりに取り組んでいた1人の生徒が妙案をもたらしてくれました。それは、ミントをあぜに植えて害虫除けに利用するという画期的な方法でした。

害虫対策に植えたミント。
大きく育ち、これからの活躍に期待がかかります。

「ある有機栽培農家が害虫対策にミントを使い、ミント米というものを作っていたのをテレビで見たそうなんです。ミントは香りの高いハーブだし、もしかしたらその香りを害虫が嫌がるんじゃないかと生徒たちと話し合って、さっそく実践してみました」。

自生力の強いミントはみるみるうちに成長し、稲穂や葉は去年度よりイキイキと育ったそう。「効果のほどはまだはっきりしていませんが、もっとミントが増えてあぜ周りがにぎやかになり、より良い結果が生まれるといいなあと思っています」。ミントを摘み取って液剤にし、田んぼに振ることも検討中だそうで、さらなるミントのパワーに期待が高まります。

受験生の気分で迎える等級検査

生徒たちが育てたお米。これから、等級検査を待ちます。

収穫を終えた兵庫夢錦は、等級検査を受けて品質が格付けされます。酒造好適米の等級は食用米の等級より厳格。粒が大きく整い、米粒の中心にある心白(しんぱく)と呼ばれる部分が程よく入っているかなど、特有の品質が求められます。状態は検査員が厳しい目でチェック。3等から特1まで5段階にランク付けされますが、3等になると醸造適正が低いと見なされ、酒づくりには利用できなくなります。

栗山先生は毎年生徒たちを連れて等級検査に行くそうですが、自分たちの酒米が何等になるか、結果が出るまではまるで合格発表を待つ受験生の気分。「最初の年は検査員に泣きの2等と言われたくらい、ギリギリ酒をつくれるほどの品質でした。これでは購入してくださる奥藤商事さんにも申し訳ないと、肥料を酒米専用のものにしたり栽培にいろいろと工夫を重ねるようになりました」。

酒米づくりは気温の高さも天敵。粒が白く濁ったり亀裂が入って割れやすくなるなどの高温障害が起きて収量が減ってしまいます。上郡町は盆地で、夏に天候が良いと気温がぐんぐん上昇する地域。日照りが続くと米の良し悪しに大きく影響を及ぼします。

1等の格付けを得た26年度の兵庫夢錦。米の袋に記された丸い判子がその証し。

ところが2014年は天候不順が幸いし、収量がアップ。田んぼの面積を拡張したことも功を奏して、酒づくりに必要な最低量の900kgを大幅に上回る 1500kgを収穫することができました。その出来栄えは、栗山先生が素人目に見ても上々。心白が十分に入った良質な酒米でした。

「検査員から『今年は問題なく1等』と太鼓判を押されて生徒たちは嬉しそうでした。奥藤さんにも『今年の米はいいね』と言ってもらえてホッとしましたよ」。目標は、いつか特や特1をとれる酒米をつくること。検査員でもこのランクの酒米になかなかお目にかかることはないらしく、ハードルはかなり高め。それでも生徒たちとチャレンジしていきたいと、栗山先生は次の作付けに意欲を見せます。

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