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健康な野菜を育てるには良い土づくりがカギ

ほんのり温かくミソや醤油のような
香りがするボカシ(発酵肥料)。

隆久さんの話の中で幾度か出てきた言葉があります。それは「ベースとなる土ができていなかったら、なんぼ上に積み上げてもいいモノはできない」。 土づくりは健やかな野菜を育てるための主軸です。作物を育てる土には、物理性(団粒構造〔有機物〕)、生物性(微生物)、化学性(肥料)が備わっていることが重要であり、その割合は7:2:1のピラミッド型で表現されます。「肝心なのは微生物の働き。微生物が有機物(アミノ酸肥料)を植物が吸収できる分子にまで小さくしてくれる。物理性があり生物性があって、その上に化学性があることによってはじめて植物は生存できる。この構造がしっかりできていなかったら、絶対にいいモノはできないよ」。化学的な理論に基づいたうえで気候の変動を読みながら作物を育てるという作業は、とても奥深いとしみじみ。

「健康な野菜は虫に食われず、生育が素直で栄養価も高い」という小祝氏の基本の教えを胸に、いつも畑に立つ隆久さん。秀品率(すべての収穫量のうち、出荷できる良品が占める割合)を上げるため、夫婦力を合わせて理想とする野菜づくりにまい進します。

緻密な土壌分析と栽培管理で野菜の秀品率95%へ

土壌分析の様子。抽出液に検査薬を入れると
瞬く間に色が変化していきます

隆久さんが作付け前に必ず行うという土壌分析。肥料設計をするために必要とされるその作業を見せてもらいました。 出てきたのは木の箱に収められた分析キット。中には試験管や検査薬など、理科の実験室にあるような道具が並んでいます。

隆久さんはまず、農地から採取してきた土に酢酸を注いで抽出液を生成。これを試験管に分け入れ、それぞれにアンモニアやカリなどの検査薬を加えていきます。すると抽出液の色が赤や黄に変化。試験管を機械にかけると、パソコン上に今の土壌の状態が表示されます。既存のソフトに測定値を入力すれば、作付けする野菜ごとに必要な肥料の種類や量までが一目瞭然。この方法に則ったうえで肥料の特徴を捉えてコントロールすると、野菜の味も自由自在に変えられるそう。「ニンジンの風味をよくするためには硫黄を多く入れるといい。セロリは与えた肥料に沿って思い通りに育つからおもしろいよ」。これほど緻密な作戦のもとで野菜が育てられているとは、目からウロコです。

五島農園の目下の目標は、野菜の秀品率を95%に到達させること。秀品率が上がれば出荷率も上がり、収益アップが見込めます。 「出来の良いときは、ニンジンで80%、大根が95%。抜いた大根が全部キレイにまっすぐで、すべて出荷できたときは気持ち良かったよな」。五島さん夫婦は顔を見合わせ、満足そうにニッコリ。小松菜やホウレンソウが95%を達成した年もあったそうで、虫や気候の影響を受けやすい葉物野菜で高い秀品率を得ることができるのは、農家にとっての誇り。 「95%を達成するには、土づくりと栽培管理がきちんとできてこそ。そのためには、苗もしっかり作らなあかんし、目標を達成できたときにはなぜうまくいったかを追求することも大事やね」。

自然を相手にする農業は、先が読めないのが常。一度成功したからといって、二度目も同じ方法でうまくいくとは限りません。経験から得た学びを細かくメモした記録帳は、隆久さんにとって何ものにも代えがたい宝物です。

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