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名バイヤーを振り向かせる、うちの野菜はやり手の営業マン

五島農園の取引先はスーパーマーケットやデパートが中心です。通常なら卸売業者を通して全国へ出荷されるところを、こちらでは各店舗と直接やり取りを行い、フレッシュなうちに店頭に並ぶよう努めています。「朝採れのものをその日の夕方や翌日に届けるわけやから、そりゃあ他の野菜と味が違って当然」と胸を張る隆久さん。以前は60~70種類もの栽培を手掛けていましたが、大手との取引が増えるにつれまとまった量の野菜が必要に。現在は20種類まで抑え、中品種中量での生産を続けています。

品種は一般家庭の食卓で重宝されるポピュラーなものが主流。とはいえ、デパートなどでは珍しい野菜や季節外の野菜を求めるお客さんもいるはず。「もちろん、売り場の担当者さんはいろいろと希望を言ってこられますよ。できる限り応えたいという気持ちはあるけれど、有機農家として一番大事にしたいのは旬。季節に沿わない野菜や一般受けしないものは無理してまで作りません」とは、奥さんの敏子さん。これまで販路に困ったことがなく、自分たちの思いやスタイルを理解し、しっかりとお客さんへ届けてくれる取引先との関係も良好。それは、野菜自身が営業をしてくれているからだと隆久さんは言います。
「同業者には、野菜づくりは難しいけれど、野菜を売るほうがもっと難しいと言ってる人も多いよ。でも結局は、いいモノを作っていれば自然と販路は広がっていくんやないかなと思う。経験を積んでいる売り場の担当者は目利きもしっかりしているからね。僕が変に営業活動したときのほうが失敗しているかも(笑)」。

出荷量は今が限界で足りないほど。売り切れて棚が寂しいから何か野菜を持ってきてほしいと催促されることもしばしばだとか。「五島農園以外の有機ニンジンを並べたら、買ったお客さんからおいしくないとクレームが入った。次はいつ出荷できるの?と問い合わせが来ることもあるよ」。売り場から届くバイヤーたちの悲鳴は、五島さん夫婦にとってお客さんの反応を知ることができるうれしい声。野菜づくりの励みになっています。

野菜音痴から有機農家へ 人生の再スタート

小さな芽を出し始めていた
キャベツとブロッコリーの苗

今は有機農業について熱心に語る隆久さんも、かつては大手家具メーカーの営業マン。脱サラからの再スタートで、敏子さんいわく「始めたころは、ホウレンソウと小松菜の違いすらわからないほどの野菜音痴」だったそう。

敏子さんは昔から有機野菜の愛好家。隆久さんはもともと農業には興味があり、少年期の趣味でサボテンを栽培していました。庭に温室を作って60種類も育てていたというから、かなりの熱の入れようです。子どもたちが独立し、定年後の生活が頭をよぎり始めた50代初め。生涯現役で働ける仕事は何かとあれこれ考え、たどり着いた答えが農業でした。 「これからは良質なものが受け入れられる時代。農業も栄養価が高くてよりおいしい野菜が作れる有機農業やと。でも家庭菜園すらしたことがなかったから、就農に向けて本格的に勉強しないとと思ってね。兵庫楽農生活センター就農コースに入学したんよ」。そこで農業の基礎を学びながら、時代が求める有機農業の方法を模索する日々が続きました。

勉強を進めるうち、隆久さんは植物生理に基づく栽培方法を普及させようとしているジャパンバイオファームの代表・小祝政明氏の考え方に出合います。小祝氏は日本有機農業普及協会の代表も務める有機農業のパイオニアの1人。彼は、科学的な有機農業を実践することにより収穫高を上げていくBLOF(ブロフ)理論を提唱しています。
参考:一般社団法人 日本有機農業普及協会 http://www.jofa.or.jp/

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