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試行錯誤で見つけた指導方法

野菜、肉類、海藻など、
バランスの摂れた彩り豊かな食事が理想。

オリックスに入ったものの、食事や健康に関しては無頓着な選手ばかり。「栄養指導を行っても、体力の衰えを自覚しているベテラン選手以外はなかなか受け入れてもらえませんでした」。今まで好きなものを食べてプロになれたのだからとやかく言われたくないと、ちょっぴり煙たがられたころもあったそう。

自分の言葉や話の内容に説得力をもたせ、関心をひくにはどうすればいいか。まずは選手たちの意識改革が必要と、あれこれ頭をひねります。さまざまな方法を試みる中で、効を奏した作戦がいくつかあるそう。その1つが"さりげなくアドバイス作戦"。選手と何気ない会話を交わしているときに「最近、疲れやすいんですよ」と体の悩みに関する話題が出ると「缶コーヒーを1日に2本も3本も飲むからじゃないの?」と笑顔でチクリ。「キャンプにも選手たちが疲れてきたかなというときに帯同して、食事時にバイキング形式のメニューから『これ、摂っておくといいですよ』と個人的に耳打ちしていました」。

決して出すぎず、相手に必要とされていると感じたときにさらりとアドバイスする。これぞ坂元さんが導き出した、反発を生まずして人の心を動かすテクニック。

また、月1回発行していたA4サイズの栄養通信も効果的でした。「1人ずつ配ったところで読んではもらえないので、トイレに張り出しました。便座に座って自然と目に留まる位置にあると、内容がすっと入ってくるんじゃないかと思って」。夏バテに効く食べ物に冷しゃぶうどんを挙げ、豚肉の栄養素や効果を書き添えたり、缶コーヒーはなぜいけないのかをテーマにしてみたり。親しみやすく身近な内容で気を引くと、徐々に選手たちが関心を示すようになったそう。「豚肉っていいんですよねと話しかけてきてくれたときには、うれしさと同時に手ごたえを感じました」。

検査結果は何よりも正直

選手がどんなに隠しても数字は正直。「ライフスタイルや食生活の乱れはきちんと検査データに表れる」と自信を持つ坂元さん。オリックス在職時代、キャンプ中に選手がどれだけ疲れているかデータを取ってほしいというオーダーを受けたときのこと。大学病院で働いていたときの経験から、ひらめいたのが尿検査の実施でした。

「朝起きてすぐと練習が終わった直後に採尿してもらい、タンパク質やケトン体が出ているかを調べました」。ケトン体はいわゆる疲労物質。尿中にどれだけ含まれているかによって、その人の疲労度を知ることができます。「朝の尿にケトン体が含まれていれば、睡眠不足や深夜までの飲酒が推測できます。また、朝ごはんを抜くと体内のタンパク質が分解されてケトン体になることが多く、練習後の尿にケトン体が出ていれば朝ごはんを食べなかったことがわかります」。

検査データをもとに選手たちに事実確認してみると、おもしろいように当たっていて坂元さんはニンマリ。これもまた、選手たちの信頼を得るための妙案でした。

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