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寒風吹きすさぶ日は、ほんわかと湯気が立ち上るうどんが恋しくなります。関西人にとって馴染みの味といえばきつねうどん。手間は惜しまず技をつないできた元祖の店で食べる一杯はまた格別です。

三代目の宇佐美芳宏さんは、注文が入ると流れるような手さばきで1杯を仕上げます。お店は創業当時から同じ場所で商いを行ってきました。店先に置いてある大きな石臼は昔使っていたものだそう。

先代譲りの丁寧な一杯

大阪商人の街・船場で、120年以上続く「うさみ亭マツバヤ」はきつねうどん発祥の店。店主である宇佐美芳宏さんが毎日手打ちする麺は、大阪人好みのやや柔らかめ。程よい弾力もあり、つるりとなめらかな喉越しがたまりません。自慢のあげは麺を覆い隠さんばかり。きめ細やかな中に味がしっかりと染み込んでいて、口に運ぶとまろやかな甘さがじんわり。芳しい香りのダシに箸でそっと浸せば、あげの油がジュワッと染み出てダシのコクを一層深めます。

あげだけ別に食べたいというお客さんもいるそうですが「うちのはダシと合わせて食べてもらってこそのおいしさやからね」と、先代譲りの味に誇りを持つ芳宏さん。三代に渡りのれんを守り続けてきました。

きつねうどんに欠かせないあげ。あげ用のダシは長年継ぎ足して使い、一度に100枚炊いています。

始まりはいなり寿司のあげ

きつねうどんの誕生はひょんなことから。「初代は寿司屋に奉公をしていて、独立してこの場所でうどん屋を始めました。奉公先のいなり寿司をヒントに、うどんとは別に甘く味付けした油あげを添えて出していたみたいです。そしたらあるときお客さんがうどんにあげを乗せて食べて、これはうまい!と」。当時はきつねうどんではなく、こんこんうどんと呼んでいたとか。こんこんとはきつねのこと。「きつねはお稲荷さんの遣いと言われ縁起が良い動物でしょ。初代は商売繁盛の意味を込めてたんかもしれませんね」。 いつの間にかきつねうどんと名前が変わり、店の歩みと共に味も少しずつ進化。関西風のうどんダシに合うようあげの味もやさしく変わっていきました。

すべての具材を一から丁寧に仕込んでいます。じっくり炊かれたしいたけもこっくりと深い色に。手打ちで仕込むうどんは、毎日出す分だけ打っています。メニューには抹茶を加えた茶そばもあり、こちらも自家製です。

素材一つ変わらない伝承の味

作り方は一子相伝。素材も創業当時から同じものを使っています。「うどんには国産小麦と輸入小麦を“同割り”して互いのええトコ取り。ダシは利尻産の昆布や屋久島の枯節など数種を合わせてうま味を強めに出しています。しょうゆは松江(島根県)の醸造元がうちのためだけに特別につくってくれているもの。火入れをしていないので届いてからも発酵が進み、コクと甘みが深まるのが特徴です」。油あげは京都の錦市場から届く井戸水仕込みのものを。二番ダシに砂糖と昆布、隠し味の酢を加えたダシで3日かけて炊くことで「ふっくらとええ色がつくんですよ」。

注文が入ると、湯釜でさっと麺を茹で、ダシを注いであげを乗せてカウンターへ。「うどんはスピードが勝負やからね」と奥さんが仕上げの柚子を一片浮かべると、たちまちさわやかな香りが広がります。立ち上る湯気の向こうに見えるのは、作り手の丁寧な仕事とやさしさ。また恋しくなる一杯です。

うさみ亭マツバヤのおすすめ

きつねうどん

シンプルながら後を引き、何度も食べたくなる味。こだわり素材たちの相乗効果で、極上の一杯に仕上がっています。

DATA:

うさみ亭マツバヤ

大阪府大阪市中央区南船場3-8-1

TEL 06-6251-3339

営業時間 11:00~19:00(L.O.)

     金・土曜 11:00~19:30(L.O.)

定休日 日曜、祝日

(2016年12月 現在)

 

【取材レポート】
きつねうどんに次いで人気のメニューを尋ねると「おじやうどんでしょうなぁ」とご主人。戦中戦後の食べ物がなかった時代に少しでもお腹が膨れるものをと考案。少量のごはんとうどんをあり合わせの具材を加えて一緒に煮込んで出したところ、評判が良くメニューになったのだとか。今は鶏肉や刻みあげ、穴子、しいたけなどを入れて当時より豪華になりました。オリジナルの南部鉄器鍋でアツアツが保たれるのもうれしい心遣い。寒い日は体の芯まで温かさが染み渡ります。こちらもぜひご賞味あれ。

 

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