笑顔の米屋 いづよね

神戸の飲食業界で、米に妥協しない店が必ずといっていいほど指名買いする「いづよねの米」。その味は一度食べるとやみつきになり、客足を伸ばすと噂されるほど。今回は人気米店の秘密を探ってきました。

阪神電車の高架下にある店舗。賑やかな外観は、思わず立ち止まってしまうほどの存在感。

看板の言葉に込められた思い。

「おコメであなたを笑顔にしたい!」「世界一笑顔になれるお米屋さん」。店頭の看板に踊るメッセージは決して"フリ"ではなく、すべてハートのこもった"本意"。「お客さんにはいづよねで米を買っていると自慢してもらいたい。そのためには、日本で一番カッコイイ米屋にならないといけないと思っていて。だから店頭のレイアウトもスタッフみんなで工夫します。ポップも一つ一つ手描き。温かみがあって思わず読んじゃいませんか?」。店や米のことになると、いつも熱っぽく語ってしまうという代表取締役の川崎恭雄さん。いづよねは神戸で創業125年を誇る老舗米店。8年前まではどこにでもある普通の米屋だったのが、川崎さんが患った生死をさまようほどの大病がきっかけで、店のコンセプトや商品のラインアップを大幅に軌道修正。現在は、体に安全で安心な減農薬にこだわって販売しています。

精米機はいつもフル稼働。米は鮮度が命と、まとめ買いは10kgごとに精米し、残りを店側で保管してくれるサービスも。

街の米屋の役目とは。

店頭に並ぶ米は、新米のシーズンになると約70種類に及びます。全国各地の米を、事務所にスタンバイした3台の炊飯器を使って毎日試食。厳選した銘柄のみを仕入れ、売り切れゴメンの販売スタイルがいづよね流です。また、他店と一線を画すのが農家さんとの積極的な交流。田植え時期にはスタッフが産地まで出向き、ボランティアでお手伝い。生産過程に触れた米は自信を持って売ることができ、生産者も気心が知れるほどに、いづよね用の米を丹精込めて作ってくれるのだそう。「私たちがお手伝いに行くのは、米のバックストーリーを知るためでもあるんです。この米を作る農家さんはお酒好きとか、花を育てるのも上手なことなどをお客さんに伝えると、米への愛着が増します。作り手と買い手の心をつなぐのが、街の米屋の役目でもあると思っています」。

スタッフは皆お米マイスターの資格を持つプロ。川崎さんは5つ星マイスターや米のソムリエの資格を保有し、コンテストの審査員も務めます。

お米を通して広がり続ける笑顔の輪。

豊富な品揃え、味と品質の良さ、心の通った接客が評判を呼び、口コミで広がり続けているいづよねの米。神戸の約280件もの飲食店と取り引きし、一般顧客も約2200件とその数は神戸一との声も。そして今、いづよね人気急上昇中なのが保育園。県下20か所に減農薬米を届けています。いづよねの米に変えてからは、子どもたちがごはんを残さないと先生たちも大喜び。家でお母さんにいづよねの米を指名する子もいるんだとか。「50年後、100年後の日本を笑顔にするためには、まず今の小さいお子さんに安心して安全な米を食べてもらいたいという気持ちがあります。米に悩んでいる保育園さんには命がけでも届けたいと思っているんですよ」。これは米屋の使命だと力強く語る川崎さん。日本のソウルフードである米を通して、今日も笑顔の輪が広がります。

いづよねの人気&注目商品

のびのび(山形)
ひのひかり(岡山)

毎日食べても食べ飽きない銘柄といえばこの2種。モリモリ食べられるのびのびは幅広い世代に人気、ひのひかりはふんわりとした食感が魅力なんだそう。

サリークイーン(新潟)

インドの高級米と日本晴の交配で生まれた細長い米。ポップコーンに似た香りがあり、パサッとした食感はピラフやカレーに最適!

選りすぐりのご飯のお供

海苔に佃煮、漬物にふりかけなど、全国から集めたオススメのごはんのお供も、バラエティー豊かに並んでいます。

DATA:

笑顔の米屋 いづよね

兵庫県神戸市東灘区御影塚町2-24

TEL 078-821-2502

営業時間 10:00~18:30

定休日 木曜日・第3水曜日

URL http://www.yonezou.com

(2014年8月 現在)

いづよね からのメッセージ

食は健康に直結していてその影響力は絶大だということを、私は身をもって何度も経験しました。健全な食のもとでは、心も体も健やかに育ちます。だからこそ、毎日安心で安全なものを食べることが大事。おいしく楽しい食卓を作っていきましょう。(川崎さん)

【取材レポート】
お客さんの笑顔が一番といういづよねイズムは、スタッフのみなさんにも息づいています。それが伝わるエピソードを川崎さんが話してくれました。「ある日お客さんが、米を10kg買って店を出られ、しばらくしてほうきとちりとりを貸してほしいと戻って来られたんです。聞くと、帰り道で米袋を落とし、2kgほど砂混じりになってしまったものを集めて洗って食べるとのこと。そこでうちのスタッフは10kgを新たに精米し直して、すべて交換したらしいんです」。精算済みの商品を丸ごと交換するなんて太っ腹! なんとも胸のすくストーリーでした。